吹奏楽ついて

吹奏楽は、西洋の木管楽器・金管楽器を主体として、打楽器やその他を加えた十数人から100人程度の編成で演奏される音楽のこと。 軍隊や国民の士気を鼓舞するためのものなどの実用音楽として発達しましたが、今日では、音楽ホールにおける演奏会や、マーチングバンド などの活動が中心となっています。日本では自衛隊や消防・警察・海上保安庁などの公的な機関に属する音楽隊のほか、学校・職場・ 地域などを基盤としたアマチュアの吹奏楽団の活動が盛んです。特に警察、防衛、海上保安、消防の音楽隊は音楽専従のものだけでも 計数十に及び、日本でプロの音楽家が公務員になる道は事実上、吹奏楽と教師しか存在しません。 吹奏楽団としては、主に西洋管楽器によって十数名から100名ほどの規模で編成された楽団で、木管楽器と金管楽器の両方を含み、 打楽器がこれに加わります。管打楽器以外では、コントラバスが加えられることは多く、楽曲によってチェレスタ、ピアノなど鍵盤楽器、 ヴァイオリン、ハープ、チェロのほか電気楽器を加えることもあります。多くの国では軍楽隊のほか、消防や警察など公的な機関に 属する楽団が中心ですが、日本とアメリカでは学校などのアマチュア吹奏楽団が圧倒的に多いようです。イタリアにはバンダと呼ばれる 民間の吹奏楽団があります。イギリスなどでは英国式ブラスバンドがアマチュアの間で結成されています。フランス、ドイツ、ベルギーなど にも、町や村の金管バンドが存在します。

「吹奏楽」という呼び名は、開国後日本では陸海軍の軍楽隊が西洋音楽を演奏する合奏組織として式典などで演奏していたのに対して、 日清・日露戦役のころに西洋管楽器で編成された楽隊が民間にも多く現われた際に、軍楽隊による音楽と区別するために普及したと されています。その後、軍楽隊が管弦楽の演奏もはじめたため、大正期には軍楽隊の演奏も「吹奏楽」に含むことが定着しました。 昭和初期には学校・職場のアマチュア吹奏楽団は「ブラスバンド」という呼び方も一般化しましたが、太平洋戦争に突入するころには 「吹奏楽」を積極的に用いるようになりました。戦後になると「ブラスバンド」の語も復活しますが、昭和30~40年代には学校・職場の アマチュア吹奏楽団がアメリカのスクールバンドを参照するようになり、行進など実用的な目的ではなく、コンサートなどでの 演奏を重視するようになりました。ドイツではBlasmusikがあり、フランスではharmonieが用いられています。英語では、bandのみで 吹奏楽団を指すこともありましたが、ロック・バンド、ジャズ・バンドが一般化するに従って、区別する必要がでてきました。 また軍楽隊以外にも、military bandを用いることがあります。イギリスでは民間の吹奏楽団は独自の金管楽器による編成で 発達したため、brass bandの語が用いられました。

吹奏楽の歴史

吹奏楽の歴史は、古代エジプト時代にラッパと太鼓類を主に、行進を伴奏する情景が当時の壁画に残されています。古代ローマ時代には 編成を増し、中世の軍楽の基礎をつくりました。中世になると楽器も発達し、種類・数量も増えて行ったそうです。オスマン帝国の侵攻に 伴うトルコ軍楽との接触は西ヨーロッパの吹奏楽隊の拡張に貢献しました。より多くのクラリネット、ピッコロが次第に加えられて行き、 金管楽器が更に発達し、打楽器の素晴らしさ、そして劇的な効果が、大太鼓やシンバル、トライアングル等の打楽器セクションの拡張を 促しました。17世紀にはドイツ、フランスなどで盛んとなり、芸術音楽にも多大な影響を与えはじめました。現在 行進曲として 演奏されるレパートリーが出現するのもこのころからのようです。1810年代には吹奏楽隊は使用する楽器が国により様々に異なって 来ますが、既に現在とほぼ変わらない規模に達してもいたようです。楽器の発達により複雑な演奏が可能となってくると、軍楽も 単に士気の鼓舞だけの用途でなくなり、多くの種類の音楽も演奏できるようになりましたが、その音量が大きいこと、移動して 演奏するのに便利なことなどから、野外演奏が主であったそうです。その後演奏会場が大きくなったため、管弦楽と同じような 演奏効果があげられるようになり、吹奏楽として一つの演奏分野が認められるようになりました。ヨーロッパでは新しい分野の吹奏楽は 一般的には取り上げられず、軍楽隊にだけその伝統が受け継がれているようです。アメリカ合衆国では新しい文化の建設のため、 吹奏楽は積極的に取り上げられ、学校教育・社会教育に活用され、民間に広まりました。

吹奏楽の編成

吹奏楽団の編成は、各国ごとに違いや特徴があるそうです。ヨーロッパ諸国ではそれぞれの伝統を有し、各々特徴のある編成がなされて います。フランスやイタリアでは、木管楽器の音色を重視した編成がとられています。オーストリアやドイツなどでは、金管楽器を多くして 全体に硬く重々しい音色をもつ編成がとられており、ロータリー・バルブのフリューゲルホルンやテノールホルン等を使用する点が 特徴です。イギリスでは、民族楽器のバグパイプを主体とした編成が発生し、現在でも軍楽隊などで見ることができる一方、 産業革命に伴い金管楽器の製造が盛んになるにつれ、労働者階級の娯楽として金管楽器を中心とした編成が編み出され、現在では独自の レパートリーを有するひとつのジャンルを確立しています。アメリカ合衆国では、アメリカ吹奏楽指導者協会が編成基準を定め、 それに従った編成が進められています。参考:バンド、ミリタリーバンド、シンフォニックバンド、ウインドアンサンブル、ウインドオーケストラ

英国式ブラスバンド

主にサクソルン属の金管楽器を中心に編成された楽団のこと。英国式ブラスバンドは、四声に分かれたB♭管のソロコルネットと 三声に分かれたコルネットを中心に、高音域をE♭管のソプラノコルネットで補います。フリューゲルホルンがコルネットの音色に 幅をもたせ、テナーホルンとトロンボーンが和声部を受け持ちます。バリトンホルンとユーフォニアムが旋律を助け、E♭バスと B♭バスが低音域をささえます。さらに打楽器が加わり、美しく輝きのある響きをもち、オルガンのそれを思わせるものもあれば、 驚くほどの超絶技巧や圧倒的な音量までもを持っています。金管楽器主体の編成であることから、指導が比較的容易であるため、 アマチュアが手がけやすいといった側面もあります。また、救世軍では世界各地にスタッフバンドと称したブラスバンドを置いており、 独自の豊富なレパートリーを有しています。

ファンファーレ・バンド

金管楽器とサクソフォーンおよび打楽器で編成されている楽団をいいます。オランダ・ベルギーを中心に普及しています。 3声のB♭フリューゲルホルンを中心に、高音域をE♭フリューゲルホルンが補うが、現在ではこのE♭の楽器は、E♭トランペットもしくは E♭コルネットで代用されます。サクソフォーンは1声のソプラノ、2声のアルト、1声のテナー、1声のバリトン、の各パートによっていますが、 オプションとしてバスサクソフォーン等が使用されることもあります。この他に、3声のトランペット、4声のフレンチホルン、バリトン、 2声のユーフォニアム、E♭もしくはFチューバ、B♭もしくはCチューバ、そして打楽器によります。英国式ブラスバンドと響きが似ていますが、 サクソフォーンとフリューゲルホルンの豊かな響きと細かい動きの特徴を生かした作品が多いようです。