
マーチングバンドついて
マーチングバンドとは、歩きながら楽器演奏し、ときにはダンスチームやカラーガードなどと行進するバンドのことです。 トルコのメフテルやヨーロッパの鼓笛隊といった古典的な軍楽隊、フットボールのハーフタイムショーを行うスクールバンド、 青少年教育団体として発展してきたドラム・アンド・ビューグル・コーなど、幅広い種類があります。
戦後、日本に進駐してきたアメリカの軍楽隊によるパレードやドリル演奏は、日本の吹奏楽に大きな影響を与え、 全国各地に創設された警察音楽隊や自衛隊音楽隊により、パレード演奏がさかんに行われるようになりました。 一方、関西では1960年に阪急少年音楽隊が第1回演奏会においてステージ・ドリルを初披露しました。その後、1970年の大阪万博において、 アメリカのパデュー大学やカリフォルニア大学など数多くの海外のバンドが来日して会場内で公演を行い、これに影響を受けて マーチング活動を始める学校が増えました。また、関東では昭和30年代、アメリカ海軍第7艦隊に軍楽隊として乗船し、 横須賀に駐留していたアメリカ海兵隊ドラム&ビューグル・コーのメンバーが地元の学生らを対象にマーチングの指導を行いました。 その後、彼らに指導を受けた関東学院や神奈川県警察音楽隊がビューグルによるマーチングを行うようになったそうです。
マーチングバンドの楽器について
さまざまな種類の楽器編成を取っているマーチングバンドがあります。
鼓笛隊
ドラム・アンド・ファイフ・コーとも呼ばれる古典的なスタイル。主にドラムなどの打楽器と横笛などから成ります。 日本の小学生のクラブ活動などではリコーダーや鍵盤ハーモニカが使用されることも多いようです。 主に教会などの音楽隊として組織され、日本には江戸時代末期に渡来しました。この時期の実態は各地の有志が調査していますが、 体系的にまとめられていないため、一般的にはほとんど知られていません。日本の本格的な洋楽は薩摩藩軍楽隊から始まるという記述の裏に、 薩摩藩鼓笛隊の実態が紹介されていません。明治、大正期には日本各地でこれらの組織が作られる事となります。昭和期になると トランペットなどの金管楽器の他、様々な打楽器が加わる事となります。現在は鼓笛隊とは言わずに、マーチングバンドの名が定着 しつつあります。主に学校の体育祭、文化祭の他、地域の祭り、イベントにも参加する事が多いようです。学校で組織されているものの、 目的は主に情操教育で、学校や自治体の教育方針により、実施するしないに濃淡があります。
ブラスバンド
ビューグルやマーチングブラスなどの金管楽器と打楽器による編成。金管バンドとも呼ばれます。ドラム・アンド・ビューグル・コーや 英国式ブラスバンドもここに含めます。チューバやユーフォニウムはサウンドの指向性と視覚的統一を図るため、フロントベルの 楽器が用いられることが多いようです。また、中音域は、フロントベルのフレンチホルンの他、より音の輪郭がはっきりしたメロフォンを 用いることも多いそうです。欧文で「Brass band」の使用は明治期から、「ブラス・バンド」の語の使用は大正期から見ることが できます。1924年の伊庭孝監修『白眉音楽辞典』では、「brass band」の説明に「真鍮楽器音楽隊。真鍮楽器を奏する楽士の集団。 元来はreed楽器を含む全軍楽隊とは区別したものである」と、brass band が金管楽器のみのバンドを指すという指摘がなされると同時に、 吹奏楽を意味する一般的な用法が定着しつつあることを窺わせる記述があります。昭和初期から救世軍や早慶戦における応援の楽隊を ブラス・バンドと呼んでいる例が新聞に見られるようになります。満州事変頃から職場、学校、青年団などでアマチュア吹奏楽団が増え始め、 これらの楽団を指して「ブラス・バンド」と呼ぶことが広まりました。特に、1933年の雑誌『季刊ブラスバンド』の創刊と、1934年の 「アマチュア・ブラスバンド東海連盟」の結成、昭和10年の山口常光『ブラスバンド教本』の刊行、および日本管楽器、タナベ楽器などの 広告に「ブラス・バンド」の表現が使われたことが普及を後押ししたと思われます。なお、東京府立第一商業の廣岡九一は、 街頭行進など軍楽隊に似た演奏を主とする場合をブラス・バンド、芸術性を指向しステージなどでの演奏を主とする学校の楽団を スクールバンドと区別しています。戦争が激しくなるにつれ、ブラス・バンドの語は用いられなくなりました。 戦後、「ブラス・バンド」の呼称は復活しますが、昭和30年代に吹奏楽関係者がアメリカに視察に行ったことをきっかけに、 吹奏楽連盟を中心としたアマチュア吹奏楽は軍楽隊的な方向から芸術を指向する方向へと転換します。他方、英国式ブラスバンドが 知られるようになったこともあり、吹奏楽関係者の間では、木管楽器を含む編成の吹奏楽団の音楽を「吹奏楽」とし、 「ブラス・バンド」は英国式ブラスバンドを指すという認識が一般化します。ただし、学校などで「ブラス・バンド部」の名称が 残存しているところもあり、また一般には旧来の用法も依然として残っています。なお、日本語の「ブラス・バンド」は、語源として 一般に英語の音をカナ表記したと考えられますが、ドイツ語に吹奏楽を意味するBlasbandの語があり、日本では金管バンドではなく 吹奏楽を指すことから、この語がなんらかの形で影響しているのではないかという指摘がなされているそうです。
コンサートバンド
一般的な吹奏楽団と同じか、それに近い編成。現在では、ドラム&ビューグルコーと同様の打楽器群が用いられることが多くなって います。木管楽器のうち、ダブルリード属は歩きながらの演奏が困難である事から、省かれることもあります。また、フルートと クラリネット属は、効果的な音量を確保するために多人数を要することから、金管楽器とピッコロ及びサックスによる編成の マーチングバンドもあります。
マーチングバンドの組織
マーチングバンドの組織をご紹介します。
ドラムメジャー
マーチングバンドの指揮者は、鼓隊の伝統から「鼓手長」を意味する「ドラムメジャー」の名称で呼ばれます。 ドラムメジャーは、指揮を振るほか、メジャーバトンとホイッスルを用いて団員に様々な隊形変化の合図を促すこともあります。 また、バトンを使ってトス、トワーリングなど曲に合わせて技を披露する場合があります。マーチングでは横や後ろを向いて 演奏することも多いので、横や後ろで指揮を振る「サブドラムメジャー」がいます。ほとんどの団体で、ドラムメジャーは他のメンバー とはユニフォームの色が違います。指揮杖には赤や黄色、オレンジの房が付いていることが多いようです。
ブラス
一般的にマーチングで使われる金管楽器には、信号ラッパから発展したビューグルとオーケストラや吹奏楽で使われる金管楽器を マーチング用に改良したマーチングブラスの二種類があります。アメリカでは、伝統的信号ラッパがG調であったことから、 1998年までのドラムコーの大会においてはすべてG調のビューグルで統一されていました。しかし1998年以降のDCIでルールが改定され、 マーチングブラスが使用可能になると、ビューグルからマーチングブラスに変更する団体が多くなりました。日本のマーチングバンドでは、 金管楽器のみの編成であっても、ビューグルが選択されることは少ないようです。また、DCIのルール改定に伴い、ドラム& ビューグルコーでも使用する楽器をマーチングブラスに変更する団体が多くなってきており、純粋にドラム&ビューグルコーと 呼べる団体は日本全国で見ても少ないそうです。
バッテリー
「ドラム」、「ドラムライン」とも呼ばれる。ドリルに参加する打楽器のメンバーで、最近ではスネアドラム、テナードラム、 バスドラムというパートで編成されています。スネアドラムは2~8人、テナードラムは1~5人、バスドラムは3~5人ほどの人数でラインを 作り、ドラムを叩き、音を合わせます。全員がドリルをしながら音のツブをぴったりと合わせるのは難しく、手の動きまでぴったりと 揃えるには訓練が必要です。演奏の際にはただ叩くだけでなく、スティック等を用いた視覚的な演技も行います。かつては楽器をベルトで 吊り下げて使っていましたが、専用のキャリングホルダーが開発され、楽器の保持が容易であることや、奏者の歩行動作の妨げに ならないことなどから、今日ではこれにドラムを取り付けて使用することがほとんどです。